年の夜




12月31日から1月1日にかけての不可思議な感慨深さは

遙か未来が舞台となるこの世界でも、それ程大きな違いはないのだった。



   



ところで、時の女神の住まうこの、「時空の扉」における「12月31日〜1月1日」という日付は、一年の
中で、「もっとも特別な日」、と言えるのだった。


「旧い時が終わる瞬間」

「新しい時が始まる瞬間」

それは同時に、

「過去となる時の扉」が閉ざされ、

「新しい時の扉」が開け放たれることを意味しているからである。

そうして、この扉の番人であり、時の女神の化身でもある、黒衣の姫君と

その周囲で彼女を支える者達にとっては、

この日は一年の中で、もっとも時空が 「不安定」 かつ 「危うい日」 であることから、

もっとも気を遣いながら、一日を過ごさねばならない日となってしまうのだった。






   






「無事済みそうですか?」
「えぇ……」
「大丈夫?」
「えぇ……滞りなく、新しい時が始まるはずよ……」


しかし……

彼女にとって しいてはこの世界にとって、
この日がどんなに 「大切」 で 「重要な日」 であるのかを
頭でどんなに理解していたとしても、

そんな女神を見守る者にとっては、
朝からずっと、まるで祈りを捧げるように、
時の流れをただ見つめ続けている彼女自身の方が、心配に思えてならないのだった。


『俺の言いたいことはそういうことじゃないんだけどなぁ……』

『でも、こんな時にはなにを言っても聞きやしないんだよね』

……と、相変わらず空をみつめるばかりのせつなに、思わず苦笑してしまったかなただった。

だがその位に、彼女たちはみな、昔と変わらず、今でもとても、職務に対し真摯で忠実だった。

勿論、

「そうであるように働きかけること」

それが、「付き星」である自分掲げるべき、最も重要な使命であることは分かっているのだ。

だから、彼女たちがそうであることを 「付き星である自分」 が憂いる必要など、どこにもないことも
重々承知してはいるのだ。


けれど、 ” 「付き星」として在りながらも、「現代に生きる只人」として、自分はこんな時にどう在るべき
なのだろうか?”  と、いうことをついつい考えてしまうかなただった。

とは言え、普段ならばまだしも、
こんな時の彼女に、自分が出来ることはあまりにも少ない。

自分には、付き星としての記憶はあっても、特別な能力があるわけではないし、
よしんば持ち合わせていたとしても、彼女の管轄はあまりにも特殊すぎるために、
まったく違った属性にある自分には、対処しきれないことが多いからである。

「あまり無理はしないで下さいね」

だからかなたは、そう言ってその場を立ち去ることにしたのだった。

なにも出来ない場合には、その場にいない方がかえって良い場合もあるからである。

「行っちゃうの?」
「え?」
「いてもいいのに…………」
「でも、邪魔でしょ?」
「邪魔なんかじゃないわ」

表情は変わらずに真剣で

視線も、かなたにはすでに分からない次元を捕らえているらしいせつなのその言葉に、
立ち去るつもりだったかなたの足が止まる。

「でも、カロンちゃんもいるから、俺は先に戻ってお節料理でも作って待ってるよ」


相手の気持ちや出方を試しているように思われるかもしれない。

「現実」と「非現実」がごちゃついた会話にも見えるかもしれない。

そうして当然、せつなの言葉が嬉しくなかったわけではない。

けれどもこれが、自分たちの現実であり、現状なのだ。


「お節の支度はみちるがやっているはずよ。それにカロンはカロンで仕事中だから……」

過ぎ去る過去よりも、来るべき未来の扉が不安。

そんな理由もあって、この日は、時の女神であるプルート(せつな)と、その使徒(付き星)であるカロン
は、それぞれ別々の視点から、時の流れを見守っているのだった。

そうして、より不安のある 〔 開かれる扉=未来への扉 〕 の様子を見守っているのが、せつなだっ
た。

「そりゃぁ、あなたがいやだと言うのなら、無理に付き合わなくてもいいけど……」


「分かりました……いくらでも姫にお付き合いいたしましょう……」


すると………

無言のままではあるけれど

その表情は崩さないままではあるけれど

それでもプルートである彼女が
「冥王せつな」として、付き星ではない「天王かなた」を呼んでいる気がしたので
かなたはその心の声に導かれるように、せつなの元へと歩み寄った。

「私、それなりに普通だから、それなりには疲れるの」
「そうなの?」
「うん、そうなの……だから……」






『このまま新しい時が無事に訪れるまで、私をここで見守っていて……?』








「分かりました……じゃぁこのままここで、一緒にその瞬間を迎えましょうね………」

「……ありがとう……」











そうして今年も、そんな時の女神の見守る中

新しい時の扉が開かれるのだった…………

















   





作品解説


……とかなとか言う感じで、HP小説ほんとの第一弾にこれ持ってくる私。
まったくもってマイペースです。(苦笑)
でもまぁいいのです。年末の話を年始に書いてる時点でもうずれてますからね。

しかし、オリジナル色強すぎかもですが、我が家の場合はこんな感じです。(対初心者様へ)

せつなは、未来ではきちんと時空の扉に住んでいて、
でもまぁそこで我が家のごとくくつろいでおります。
だから孤独なようで、孤独じゃないうちのプルートちゃんですが、私にとってのプルートは
「美しき時の女神様」でもあるのです(*^^*)
だからまぁこんな部分も時には見せなきゃね。

と、言うわけで、こんな所でなんですが、もしうちを知らない方がついみちゃったら好きになってあげてください〜

 &

すべての我が家の「せつな&かなた」を好きでいて下さる方へ
                     新年の挨拶第一弾として、短いですがこのお話を捧げさせて頂きますV















  おまけ……(雰囲気壊れますけどね、でもこれが我が家の基本形。)



「ねぇかなた」
「うん?」
「あとで、年越しそば、宜しくね」
「帰る頃には年越してます(-.-)」
「気分の問題よ(>_<)/~~」
「でもさぁ、時間的に雑煮じゃない??」
「だめよ!順番に食べなきゃだめ!」
「そんなに一気に食えないって(-_-;)」
「食べれるわよ(><)」
「太るって(-_-;)」
「良いのよ、どうせ半分はあなたが食べればいいんだから(∩.∩)」
「……好きにして下さい……」

『人類の為に尽力つくしているかと思えばこれだもんなぁ』

と、こんな現実に少々頭が痛みつつも、
それでも「彼女がこんなことを言える今年も、きっとこの世界は平和なのだろうなぁ」
と、なんとなく幸せになってしまったかなただった。(ちゃんちゃん♪)








私の漫画(小説もか)の下書きは、大概こんな感じで書いておしまいなのですね。
あぁだめだめなはずだわね〜(苦笑)

それからそれから、オフラインの原稿作りと違い
オンラインでは小説もある程度デザイン重視いでこさえてみてますV
なので、国語能力皆無な文章表記をしているけどご愛敬ということで。

下手なのは知っているから許して下さい〜

平成15年1月6日 長月





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