18:見返してやるんだわ


最初に好きになったのはどっち?

多分考えるまもなく私……だと、思う。
だからいっつも負けてしまうので、いつか勝つぞ、というのが私の野望(^^)V

と、いうことで、今日はこんな質問をしてみることにしました。

「私と勝負をしましょう♪」
「はぁ………なんの??」


不思議そうにそう言ったので、気合いを入れて答えてみた。

「はるか、私のこと、好き?」
「…………………なに聞いてんの?;」

うわ〜ん、なんだかつまらない答えだわ〜

「はるか、もう私のことなんかどうでもいいのね」
「なんでそうなんだよ;」
「だって、答えがすんごくぞんざいだもん」
「ぞんざいって言うか、いきなり聞くからなんだと思ったんだというか、今更聞くなというか……」

『いやそうじゃないな、なんでそんなことを真面目な顔で問うんだ?』

そう思ったはるかだったが、しかしみちるはいつもいつでも殆どの場合がこんな調子なので、そう驚きもせず、そう答えたはるか
だった。

「うぅ」

しかし、ここで思わず唸ってしまったみちるだった。

そうだ、この人のこの落ち着きに乗ってしまうから負けちゃうんだわ!そうね、そうなのよぉ〜




でも、ある意味そこがいいんだけど………(=安心は出来るものね、みやみやたらと。)


「どうしたの? 考え込んで?」

とはいえはるかにしてみれば、どうにも不可思議なみちるの様子に「今度はなにをたくらんで……もとい、悩んでいるのんだ?」
と、いう気分だった。


「えっと……だからつまり、勝負なんです」
「はぁ……だから、なんで? なんの勝負を、俺とみちるでするわけ?」
「はるかが、みちるちゃんをどのくらい好きか、の勝負です」



『………………どんな勝負で、なにする気だ?』


本気であきないみちるである。
でも、当の本人は至って真面目な顔つきである。


「ねぇみちる、それは「勝負」じゃなくて「試す」じゃないの?」
「う;」

あぁ困ったわ、今日はぜ〜ったいに勝つんだと思ったのに、すでに言葉で負けちゃうなんて〜
国語の成績なら確か、負けていなかったはずなの……


「でも、なんで俺、みちるにそんなことで勝負いどまれちゃうの?」

それもそうだ。
けどまさか

”いつも自分の方が好きみたいで負けてるみたいで、なんだか悔しいから
 「いつか見返してやるんだわ」
 「負けた」
と言わせるんだわ〜”

……と、言うのも確かに妙かもしれない。

ううん、でも、今日は勝ちたいのよ!勝ちたい気分なのよ〜


「いいから、とにかく勝負よ!」
「はぁ……で、勝負の方法は?」

「とりあえず〜……………キスしましょう!」


「…………??????(いよいよわからん) それでなんか分るの?」
「わ〜かる〜……かもしれない!!」
「まぁいいか……とりあえず挑まれてみましょう(^^;)」


     




    「瞳閉じませんかね?;」


  

             「いやよ」



          
                                             
          
                                                            



                                          「どうして?」
  

                                            「負けちゃうから」




「負けるのっていや?」


『いやそれ以前に負けるとか勝つとかってそもそも一体………なんなんだ?』

「うん、いや」


あぁそうだよね、この人意外と負けず嫌いだったっけなぁ〜


「俺は別に平気だけどな。事と次第にもよるけど」
「そうなの?」
「うんだって、勝ったからってどうってことないことも、あるじゃん? 世の中には」
「例えば?」
「そうだなぁ〜……」

しばし答えを考える。


「俺、みちるには勝てないと思ってるよ」

そう言ってにっこり。
邪気も邪念もないにっこり。

「そ、そうなの?」
「うん、勝ったって意味ないし、最初っから負けてるし、別に……今更だなぁ〜と」
「それでいいの?」
「い、いいのって言われてもなぁ……」

よくなかったらなんだというんだ?というのがはるかの考えだった。

「みちるちゃんのこと、見返してやるんだ〜とか思わないの?」

大きく速攻こっくりと頷く。

見た目としてはコンパクトとは言い難いのだが、どうもこういう仕草が浮かないところが怖い人である。
素直に微妙に、可愛い……

「見返えさせてさ、それでそのあとどうするの? 俺にすんご〜く、えらそ〜にしろとか?」

ちょっと想像してみる。

「変じゃない?」

自分で言うか? それを普通。

「で、でも待って。そのはるかの理論で行くと、勝ってるらしい私はじゃぁ、えっらそ〜〜〜〜に見えてるの!?」

なんだか当初の目的と激しく違って来たのだが。

「え? う〜〜〜ん……」

なんでそれは悩むんだ〜〜(泣)


「偉そうだとは思ってないよ」
「じゃぁどう思っているの?」
「う〜ん………」

本気で悩んで……いるらしい。

「妖精のことはよくわかんないなぁ〜」



私はそんなことを言うあなたが時々分らないわよ……


でも、その飄々と(?)したところが、どうにも勝てない感じなのだが。


「みちるみちる」
「うん?」
「今の感じはかっこいいかもしれないぞ」

もうよく分らない。
分らないけど、この分らなさがこの人の強みなのかしら?


無我の……境地????


あぁでもそうよ、そうだわよ。
私が妖精だと言うのならあなたな仙人とか言われているものね……(溜息)


「あ〜ぁ〜私は何時になったら、はるかを見返すことができるのかしら」
「みちるほどそれの得意な人、俺他に知らないよ?」

なにしろ、自分の母親並に言動が不可解だ。(面白いんだけどね)

「あぁんもうなんだかますます悔しい〜」
「な、なんでだよ」
「だってはるか、いっつも余裕なんだもん」
「そ〜んなことないそんなことない」
「む〜」


よしよしと、頭を撫でる腕までなんだか、偉そうではないのだけれど、なんだかもう……うぅ……


「ねぇみちる、大体俺、みちるのことこれっぽちいも侮ってないからね」
「え……」
「見返すって……そういう場合にでる言葉じゃなっけか? それとも、そんな風に見える?」


わ〜ん、そうかもしれない〜……


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさ〜い」
「いや、そんなに謝らないでもいいんだけどね」

そうよね、そうよね、そうなのよぉ
でもそこがにくいのよ〜

あぁでもそれは、はるかに当たる部分じゃない。


「反省します」
「いや、そんなに落ち込まないでもいいんだよ」
「でも」
「いいよ、別に」

つくづくと、優しい人だなぁ〜っと、こんな時に思う。

でもいつか、私もそう思われたいな、とは思うのだけれど……それはいつのことなのやら。


「私、頑張る」
「ん?」
「頑張って尊敬される人になるわ」


気合いたっぷり……
でも、今でも十分、尊敬してるけどなぁ……俺はど〜やったってみちるにはなれないし。
けどまぁいいか、なんだか張り切っている姿は可愛いしね。

「期待してます」
「うん、待ってて♪」
「はいはい」










一発目から意味もなく終わる……
でも、対抗したって平行線なのがこの二人。
いや、他でもそうかしら。

とにかく、どうもこの言葉、使いたいのに使えなくて、微妙に用法、変ですね。ごめんなさい。


でも、普段はこんな感じで、まったり仲の良い二人です。
みちる、はるかの掌の上でふわふわにこにこ、飛んでる感じなんだよなぁ〜〜

でもね、幸せなのはいいことですよね。(^^)


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