13:うるさい

思わず言っちゃった………そんな感じで第一夜。



その日はなんだか、いつもとちょっと具合が違っていた、かなた氏だった。

いや、言ってみればある意味とても忙しい人だし、一応は、あくまでも一応は普通の人なので(若干怪しげだが一応、彼の傍近
くの人間を比較対照とした場合には十分普通に感じられるはずである。)たまには調子が悪いことも元気がないなぁ、ということ
もあるにはあるのだ。

「つぅかあれだな、俺の場合は普通に仕事のしすぎなんだろうなぁ……」

いや、ぶっちゃけ自分の周りの人間はもっと仕事熱心なので、比較しちゃえば自分は十分暇人なのかもしれない。
なんといってもあれだ、セーラー戦士のお仕事に日曜祭日盆暮れ正月関係ない、どころか24時間ないということは、365日いや
いや要するに生きている限り職務放棄が出来ない感じなので……

「良く考えないでもやな職業だな……」

と、自分(=付き星=仕事しなさいというのがお役目)が言うのもどうかとは思うのだが……

でもそういえば、切り返しの上手いみちるちゃんやほっちゃんはそれでもなんだか結構平気そうだなぁ……

いやでもよく考えてみないでも、ほっちゃん(=サターン様)って「何していろ」とも「何してくれ」とも言われていなくって、むしろ、
「なんにもしないでいいです」、とかいう感じの扱いを昔から受けてた人で、要するに「何もするな」の「何も」はマイナス方向に対
するそれなので、こちらに都合の良いことであれば、特別咎められることなくなんでも出来たようだけど、なにかをしたら……どう
だったのかなぁ……さすがに余所のことまでは詳しくはないなぁ……
でも、扱いそのものは大分なんとも……悪かったんだよなぁ……ふむ……

あぁ成程、だから、逆手をとって干渉せずに好きにしていた……とも、言えるのか。

ただ、なんだか色々ある人だったので、今と同様、一見大きな干渉は世界に対してしてはいない。

依頼すれば誰の代理でも受け付けてはくれるのかもしれないが、それでも自分を知っているせいか、あまり干渉はしてはこな
い。
なのにそんな境遇でも、ある意味飄々としても見えるほっちゃんは……偉大だわな……
いやその前に、彼女が真面目に仕事をせずに、飄々としていられる位の方が、世の中平和なんだろうなぁ……

で、かたやみちるちゃんもなんだかよくよく考えると頭の中が上手に切り替わる人なんだろうなぁ……
なんだかものすんごい今更なのかもしれないが、要するにこの方(=ネプチューン)が悩むのって要するに普通なせいだったんだ
ろうなぁ……

そうほら、それ以外の3人なら、間違いなく「自分はこうなんで」となったら「こうだから」って諦めたり悩んだりするんだけど、この
方だけは、「こうなんで」、「こうだから、だから〜……」、なんだよな……あぁ成程……
で、なにがどうしてどうしたのか突き抜けちゃったら……ほっちゃんみたいになっちゃったんだな……

それに比べて、はるかとせっちゃんって、びっみょ〜に年中お仕事思考だから……んだからぼ〜っとしているのだろうか?


いやそうじゃなく。


なんかこう思考回路が変なのに、なにゆえ自分は家でぼ〜っと仕事しているんでしょうかねぇ……とほり。









で、気が付いたら日が傾いていた。

なんだか能率も上がらず、ぼ〜っとマシンの前で過すこと10時間。

10時間ってどうなんだろうか?

長いんだろうか?

短いんだろうか?


……………………………………離れている時間として。


いや長くはないはなぁ……会社勤めしてたらこうだろうし……


と、考えてどうにも頭が変な方向に働きそうなので、


「御飯作ろう……」


つくづく主婦業にこそ向いているらしい人だった。


しかしやっぱりどうにもこうにも調子が悪い。
なんだかこういうのも珍しいなぁ〜、と考えてふと気が付いたら、

「あ、塩と砂糖間違えた……」

あり得ない感じである。

しかも、まぁいいか、今日はちびっ子(=ほたる&まゆり)もこなさそうだ、そうだそれならなんでもいいか……と、考える辺りが異
常である。
これこそあり得ない感じである。
こういう部分で適当にはなれない人なので。


あ、そう言えば目が回るっけなぁ……
お〜〜昔よくはるかがこ〜お湯が沸くのも待てなくて、キッチンでへたりこんでいたんだが……
なんというかなるほど、こういう感じか……(分りたくはない。)



しかもこういう時に呼ぶかなぁ……(声だけとはいえ。)





「何ですか〜?」

「なんでもないんだけど」
「なんでもないなら呼ばないでください〜」


し〜ん


なんでもなくはないんだろうが、なんでもないんだろうな……というのは分るのだが……だめだ。
今付き合ってると色々まずい感じだ……


「じゃぁもういい」

「はぁ?」

「別に用事はなかったの。だからもうのいいの。じゃぁ!」


電話じゃないのでがっちゃ〜ん、と切る感じではないんのだけれど、電話だったらそんな感じ。

あぁもう冷たい上に怒られた……


寝よ……









それからまた一時間後。
再度お呼びが入る。

まぁ考えてみたらかなり普通じゃない場所にいるので(なにしろ時空の扉だ。)そもそも電話なんぞ繋がる以前に電話なんかあ
るわけないので(なので、表に出るときには自分の分を持たせてしまうのだが。)それしか手段がないのだが……


「ねぇねぇ……寝ちゃった?」

あぁ返事をしてしまったらしゃべらなきゃなんだけど……

「ねぇねぇねぇ」

あっか〜ん……声が頭に響いて痛いです。
………まゆりじゃなくて良かった………あれは声が高いしなぁ……

「今そっちに急にはいけないんだけど」
「うん……俺もいけない……」

「忙しい?」
「まぁそれもあるけど」

むしろそれはもうあっちに放置で倒れてます、とはいえないんで、来られないようならかえって………よかった……

「じゃぁあとは?なにか他に原因があるの?」
「なんにもないよ」
「嘘」
「嘘じゃないって」

いや、やっぱ嘘か。
でも、わかっちゃいるけどどうにも出来ないのだよ……

「分った。今からそっちに行く」
「今これないって言っただろ?」
「大丈夫」
「全然大丈夫じゃありません」
「どうしてあなたがそんなこと言うのよ?」
「俺だからいうんだよ」

どういう立場で考えるにせよ、自分がどうにかなるとかするとか、それにはなんの問題もないのだと思うのだが、自分ではなく彼
女が横に逸れるのだけは、どうにもこうにも避けたいのだ。
だが、時々この人はいきなり無茶とかなんとかをしようとするからなんというか……
これじゃぁけじめがつかん。

だから頼むから……言うこときいてくださいな……

「あなたのそう言うところ、私どうにも納得できない時があるんだけど?」

あぁもうとにかく、喋っているとどかどか頭痛がするのは………どうしたものなんだか………

「いいから、とにかくそっとしておいて」
「はぁ?」
「とにかく、静かにして」
「私、うるさい?」
「う〜ん………」
今だけちょっとなぁ……

「うるさいわけ?!」

あぁもうほんとに……響くったら……なんだったら……

「ちょっと聞いてる?!
「あぁもうほんとにうるさいったら!」



「あぁもうあなたなんかきっら〜〜〜〜〜い!」

ちん☆

というわけで、ほんとにそれで声がきこえなくなったが……

もしかして、大分怒ってた?

いやその前に……心配してくれてた……のか?


あぁでもだめだ。今なにいっても多分きっと堂々巡りだろう……

とにかく目眩まで(横になっているのになぁ)してきたので今夜は寝よう……










さてさてどうするどうなる?
まぁいつこのことなんだがな……この二人の場合……

そういえば、ず〜いぶん昔に、やっぱりかなたが風邪にダウンしていた
お話が逢ったんだけど、偉く人は変る物よのぉ……

かなたが勝手に倒れているとこだけは同じなんだが。


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